2013年9月29日日曜日

流体の数値計算法について(2)

藤井先生の本についての続編です。

一つ面白い記述に

「最近の多くの実用的な計算結果を見る限りでは、一般的には2次精度を維持することが必要といえる」

というのがあります。

乱流の解析では2次精度では不十分な場合がありますが、多くは2次精度程度である程度事足りるとの指摘です。

河川の流れの解析のように、平面2次元流れの解析であれば、この指摘は当てはまると思われます。

平面2次元流れは、どの程度の流れの解像度を得ることが必要かで乱流モデルを選択する必要がありますが、多くの場合は、ブシネスク近似を使って、ゼロ方程式を用いたモデルが多いようです。

①格子形状
格子形状は境界適合座標系を使い、スカラー量とベクトル量を互い違いに配置するスタッガード格子を採用します。

②解析手法
有限体積法を用いることが多いですが、モデルによっては有限差分法が多いです。有限要素法は滅多にありませんが、アカデミックな世界では実施されていることもあります。
また、移流項に対しては、1次風上差分が非常に多いはずです。藤井先生の本を読まれる方は「は?」と思われるかもしれませんが、実用的な解析では、計算が飛ばないことが非常に重要です。
はっきり言って、解析についてあまり知らなくても、計算結果を確実に得ることが求められます。2次精度以上を確保しようとすると、不安定になる可能性が多くなりますので、1次風上が多いのです。
一方、移流項以外は、2次精度の中央差分が多いです。各項の大きさについての議論は別にして、移流項で3次精度以上を確保しようとすると、他の項も同様に3次精度以上を確保する必要があります。
したがって、移流項に対しては大局的空間2次精度程度を確保することが適切のようです。

さて、藤井先生の本に戻りますが、前述の指摘がある程度的を得ています。
分野が違えど、面白い指摘だなと思った次第です。


なお、ブシネスク近似のうちk−εやLESを用いる場合はこの指摘は当てはまりません。
乱流モデルは、小生の間隔では3次精度以上が必要のようです。

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